平成23年3月11日の東日本大震災とそれに続くいまだ終息の見通しのない原発事故で、日本は戦後類を見ない危急存亡の事態に直面しています。インフラの復興だけでも16〜25兆円と言われる多額の財源が必要です。しかし、財源よりももっと大切なものは日本国民が心を一つにして、この国難にうつむくことなく視線を正面に向け、毅然として耐えぬく覚悟をすることではないでしょうか。被災地の復興と日本再生を信じて、この苦難をともに分かち合い希望を捨てないことではないでしょうか。被災地には大胆で迅速な復興策が必要です。個人としてまた医師会として出来ることをしっかりやるしかないと考えています。
東日本大震災で議論が置き去りにされている感がありますが、日本が置かれている人口減少・超高齢化社会とそれに対する備えの議論は、しっかりしておかねばなりません。社会保障国民会議委員の一人、慶応義塾大学の権丈善一教授の言葉を借りれば、「社会保障は所得の再分配」ですから、必要な医療・介護サービスを受けるためには、これまでの医療・介護サービスの費用削減政策を転換し、低所得者の負担増を回避しつつ、社会保険料や税を増やし年金・医療・介護といった社会保障の充実を図るための財源の道筋をつけておく必要があります。震災復興財源の手当てと同じく、社会保障の財源確保には国民の理解と協力が欠かせませ ん。私たちは、医療の現場から社会保障の充実のための恒久財源の必要性を訴え続ける必要があるのではないでしょうか。
さて、行政刷新会議に「規制・制度改革に関する分科会」が設置され、3つのワーキング・グループが設けられていますが、このうち「ライフイノベーション」(医療・介護分野)WGから、19項目からなる制度改革の方向性が示され、4月8日の定例閣議で決定されました。日医は行政刷新会議が会議も開かず検討過程も公表しないまま、方針を取りまとめ閣議決定したことに不快感を示しています。国は医療の規制改革を行ない、市場原理を導入しようとしていますが、国民皆保険制度は改革するのではなく、守らなければならないルールであることを認識する必要があります。
震災からの復興と高齢社会が直面する社会保障の充実という、挙国態勢で臨まなければならない多難な課題の中で、地域医療を支える会員を支援することが、「地域医療の崩壊」を防ぎ延いては社会保障の充実に繋がるという基本的な原理に立ち返り、以下の事業項目の推進に努めて参りたいと考えています。
- 救急医療を中心とする地域医療提供体制の再構築
第2夜間・休日急患センター準夜帯の医師会への委託に伴い、二次救急医療を担当する救急告示病院及び上部医師会との連携を図り、市民が安心のできる救急医療体制を構築する。 - 災害医療への取り組み
災害対策委員会を設置し、災害時に八幡医師会として可能な活動等について検討するとともに、災害時、緊急時の連絡網を構築する。 - 勤務医・研修医との連携強化
大学医局に所属していない勤務医・研修医が半数を占める現在、生涯学習の手段として医師会への所属を促し、八幡が彼らの第二の故郷となるべく地域全体で育成に取り組む。
また、平成21年に立ち上げた八幡医師会臨床研修医懇話会を更に発展・充実させる。 - 在宅医療・緩和ケアの推進
地域医療の充実のために、八幡医師会訪問看護ステーションを中心に近隣の訪問看護ステーション、病院の医療連携室との連携を深める。病診連携、看看連携の推進を行い、平成21年の九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会で発表した内容を更に進める。 - 広報活動の推進
対内広報の充実を図るとともに、市民に医師会活動を理解していただくため対外広報誌の発行を昨年に引き続き検討する。 - 小児生活習慣病(特に肥満)への対応
教育関係者と共に、小児の生活習慣病(特に肥満)の教育や実効的な予防活動の方向性や方法等の検討を行う。 - 八幡医師会(医師・医療従事者)無料職業紹介事業の推進
会員医療機関の医療従事者確保のために、平成21年5月に新設した八幡医師会無料職業紹介事業を推進する。 - 次代の医師会を支える人材の育成
医療は適切な医療制度なくしては出来ないことに鑑み、医療制度改革に関する議論を深め、次代の医師会を担う人材育成に力を注ぐ。 - 公益法人移行
平成20年12月1日から新公益法人制度が施行となり、今後、公益法人移行へ向けて、申請のための手続きを進める。 - 看護専門学院の将来検討
少子化に伴う新卒受験者の減少、医療機関における看護師不足を踏まえ、医師会及び会員が一体となって、今後の看護専門学院の運営について高卒3年課程併設も含め検討するとともに、教員の確保及び学習環境の整備を行い安定した運営を図る。 - 医療・福祉センターが持つ在宅医療部門の強化
地域における介護ニーズの高まりを受け、小児から高齢者を対象に訪問看護を実施し、さらに居宅介護支援・介護予防支援を強化する。 - 東日本大震災への支援
未曾有の被害となった東日本大震災の復興に向け、息の長い継続した支援を行う。




































